2010年の松平頼則作品演奏予定

2010年度は、企画制作者多忙のため、『101年目からの松平頼則』公演はお休みさせていただきます。

しかしながら、本年度には松平作品の注目すべき演奏会が幾つかありますのでご紹介させて頂きましょう。

****************

まず、第1に、7月9日(金)に東京文化会館小ホールで行われる、東京シンフォニエッタの公演が挙げられます。

この公演では、1988年に高橋アキを独奏者として作曲された、『ピアノと16楽器のためのコンチェルティーノ』が演奏されます。

ピアノ独奏は藤原亜美、指揮は板倉康明。

曲目は他に、金子仁美 『暮れなずむ頃』〜笙と弦楽四重奏のための(2009-2010)、石井眞木 『起−承−転−合』尺八ソロと6人の奏者のための(1998)、諸井誠『コントラディクション? 雲のある風景』(1987)。

開演19:00、入場料:全席自由 一般:4000円 学生:3000円 東京コンサーツ(03-3226-9755)などでお求め可能です。

****************

第2に、10月5日(火)にサントリーホールで行われる、「作曲家の個展」30周年記念コンサートです。

毎年一人、コンスタントに日本の作曲家を紹介してきたこのシリーズが30年を迎えることを記念し、これまでにこのシリーズで委嘱された3作品に、シリーズ開始の年の1981年に取り上げられた作曲家:松平頼則の未初演のピアノ協奏曲が加えられ、計4曲が演奏されます。

松平頼則には、ピアノ協奏曲と題された作品が3曲あり、1曲は1964年に作曲。これはイタリアのツェルボーニ社から出版する際に事故で行方不明になった、とされている作品でありますが、上野学園大学にスコアが収蔵されていることが確認されました。

次に、1979年から80年にかけて作曲された「ピアノ協奏曲第2番」で、これは「作曲家の個展」第1回コンサートで、高橋アキのピアノ、秋山和慶指揮のNHK交響楽団の演奏で初演されました。

今回演奏される「ピアノ協奏曲第3番」は、その死の年となった2001年の前半を使って作曲された93歳時の作品です。この作品については、今回のソリストとなる野平一郎が松平頼則病没の翌週に発表した追悼文に載っており、その存在のみ知られてましたが、残念ながらこの9年間演奏されることはありませんでした。この作品が、今回ようやく陽の目をみるということで、要注目の演奏会といえましょう。

演奏は、ピアノ独奏に野平一郎、梅田俊明指揮の東京都交響楽団

曲目は他に、望月京:インスラ・オヤ(2007)、北爪道夫:管弦楽のための協奏曲(2003)、近藤譲:夏に(2004)

開演は19:00、入場料:全席指定 S席:4000円 A席:3000円 B席:2000円 東京コンサーツ(03-3226-9755)などで7月1日の発売となります。

****************

第3に、10月16日(土)に門仲天井ホールで行われる、大井浩明 作曲家の個展 Portraits of composers の第2回コンサート

ここで演奏されるのは、松平頼則のピアノ組曲『美しい日本』(1970)。「前奏曲」「朗詠的な幻想(七夕)」「わらべ唄(手まり唄)」「草刈り唄」「平曲のパラフレーズ(横笛)」「箏曲風の終曲(茶音頭)」の6曲からなるこの作品は、企画物のような題名に反して、錯綜する前打音が複雑怪奇な様相すらみせる難曲で、クセナキスをはじめとした現代音楽のみならず、近年は古楽演奏にも積極的な大井がどのようにこれを捌いていくのかが注目されましょう。

開演は19:00ですが、入場料など詳細は未定なようです。演奏者のblogに後日案内が載ることと思います。